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技術士試験(情報工学部門)・情報技術者試験。ファーストマクロ。


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令和6年度 秋期 応用情報技術者試験問題と解説

問64

BPRによって業務を見直した場合、これまで従業員5人で年間計9,000時間掛かっていた業務が7,000時間で実現可能なことと、その7,000時間のうちの2,000時間分の業務は外部委託が可能なことが分かった。この結果を基にBPRを実施した次のシナリオ a から d のうち、当該部門において、年間当たりの金額面の効果が最も高いものはどれか。なお、いずれのシナリオも年初から実施することとし、条件に記載した時間や費用以外は考慮しないものとする。

〔条件〕

(1) 年間計9,000時間の内訳は従業員1人当たり1,800時間とする。

(2) 従業員1人当たりの年間の人件費は600万円とする。

(3) 外部委託が可能な2,000時間分の業務を、外部委託した場合の年間費用は700万円とする。外部委託の契約は1年単位で年間費用の700万円は固定である。

(4) 従業員の空いた時間は別の付加価値業務が行えるようになり、従業員1人につき100時間当たり20万円の利益を得ることができる。

(5) 従業員4人で当該業務を行う場合は、残り1人は他部門に異動する。当該部門では、1人分の人件費の削減効果だけを考慮する。

(6) BPR実施後、当該業務に関わらない従業員の人件費は金額面の効果とみなす。

┌────┬──────────┬────┐
│シナリオ│当該業務行う従業員数│外部委託│
├────┼──────────┼────┤
│  a  │    4人    │ する │
├────┼──────────┼────┤
│  b  │    4人    │ しない │
├────┼──────────┼────┤
│  c  │    5人    │ する │
├────┼──────────┼────┤
│  d  │    5人    │ しない │
└────┴──────────┴────┘

シナリオa  イ シナリオb  ウ シナリオc  エ シナリオd


正解


解説

BPR (Business Process Re-engineering) は、企業内の業務全体を対象として、業務プロセスを抜本的に見直すことによって、品質・コスト・スピードを改善し、競争優位性を確保することである。

人件費 600万円の人が生み出す利益が、1,800 ÷ 100 × 20万円 = 360万円しかないなのだから、1名減員とするのが最も金額面の効果が高くなる。したがってが正しい。

ア ■従業員4人で業務を行い外部委託する場合
人件費 600万 × 4 = 2,400万円
外部委託費 700万円
年間費用は 100万円増加する。

一方、年間の従業員の業務時間は、1,800時間 × 4人 = 7,200時間。
従業員が行うべき業務時間は、2,000時間を外部委託するため 7,000時間 − 2,000時間 = 5,000時間。
よって、空いた時間 7,2005,0002,200時間で、別の付加価値業務を行えるようになる。
この時、得ることができる利益は、2,200 ÷ 100 × 20万円 = 440万円である。

したがって金額面の効果は440万円100万円340万円である。

イ 正しい。
■従業員4人で業務を行い外部委託しない場合
人件費 600万 × 4 = 2,400万円
年間費用は 600万円削減となる。

一方、年間の従業員の業務時間は、1,800時間 × 4人 = 7,200時間。
従業員が行うべき業務時間は、7,000時間。
よって、空いた時間 7,2007,000200時間で、別の付加価値業務を行えるようになる。
この時、得ることができる利益は、200 ÷ 100 × 20万円 = 40万円である。

したがって金額面の効果は、600万円40万円640万円である。

ウ ■従業員5人で業務を行い外部委託する場合
年間費用は 外部委託費 700万円が増加する。

一方、年間の従業員の業務時間は、1,800時間 × 5人 = 9,000時間。
従業員が行うべき業務時間は、2,000時間を外部委託するため 7,000時間 − 2,000時間 = 5,000時間
よって、空いた時間 9,0005,0004,000時間で、別の付加価値業務を行えるようになる。
この時、得ることができる利益は、4,000 ÷ 100 × 20万円 = 800万円である。

したがって金額面の効果は、800万円700万円100万円である。

エ  ■従業員5人で業務を行い外部委託しない場合
年間費用は変わらない。

一方、年間の従業員の業務時間は、1,800時間 × 5人 = 9,000時間。
従業員が行うべき業務時間は、7,000時間。
よって、空いた時間 9,0007,0002,000時間で、別の付加価値業務を行えるようになる。
この時、得ることができる利益は、2,000 ÷ 100 × 20万円 = 400万円である。

したがって金額面の効果は、0万円400万円400万円である。

問63 目次 問65