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技術士試験(情報工学部門)・情報技術者試験。ファーストマクロ。


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平成18年度 技術士第一次試験問題【専門科目】

W−7

頂点が n 個で辺が m 本のグラフ構造の問題を解くためのデータ構造として、隣接行列と隣接リストについての次の説明のうち、最も適切なものを選べ。

@ 隣接行列を用いると、どのような問題に対しても時間計算量にO(1)で影響する。

A 隣接リストを用いると、領域計算量にO(n)、時間計算量にO(nm)で影響する。

B 有向グラフでは、隣接行列の方が適している。

C 多くのアルゴリズムでは、疎なグラフでも隣接行列を用いても実用上の問題がない。

D 密なグラフに、隣接リストを用いるのは、時間計算量、領域計算量ともに不利な場合が多い。


正解

D


解説

隣接行列は、頂点と頂点を結ぶ辺 (枝) の数を行列形式で表したものである。三角形の場合は以下のとおり
   ┌─┬─┬─┐
   │@│A│B│
 ┌─┼─┼─┼─┤
 │@│0│1│1│
 ├─┼─┼─┼─┤
 │A│1│0│1│
 ├─┼─┼─┼─┤
 │B│1│1│0│
 └─┴─┴─┴─┘

また、四角形
 @─A
 │ │
 C─B
の場合は、以下のとおり。
   ┌─┬─┬─┬─┐
   │@│A│B│C│
 ┌─┼─┼─┼─┼─┤
 │@│0│1│0│1|
 ├─┼─┼─┼─┼─┤
 │A│1│0│1│0|
 ├─┼─┼─┼─┼─┤
 │B│0│1│0│1│
 ├─┼─┼─┼─┼─┤
 │C│1│0│1│0│
 └─┴─┴─┴─┴─┘

@ 2点間の隣接チェックの時間計算量はO(1)であるが、任意の点からの隣接チェックの時間計算量はO(n)である。

A 領域計算量はO(n+m)である。

B 隣接行列に有向グラフのような向きは含めない。

C 疎なグラフでは、無駄な計算が多くなる傾向にある。

D 正しい。隣接リストは上記の四角形の場合、以下のとおり。
 @ → (@,A)、(@,C)
 A → (A,@)、(A,B)
 B → (B,A)、(B,C)
 C → (C,B)、(C,@)
密なグラフでは、時間計算量、領域計算量ともに多くなり、不利と言える。

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